マヌカハニーとは
マヌカハニーとは、ニュージーランドだけに自生しているマヌカの木から採取された蜂蜜で、採取できる期間も限られているためとても貴重であり、豊富な栄養素と様々な有用性から、類を見ない特別な蜂蜜として世界の国々で愛され続けています。
マヌカハニーは通常の蜂蜜とは異なり、様々な等級が設けられており、また風味などにも特徴があるため、期待される効果や自分の希望する使用方法・好みに合ったものを把握することが、健康維持のために継続して摂取するための重要なポイントです。
マヌカハニーの特徴、蜂蜜との違い
では、一般的な蜂蜜とマヌカハニーにはどのような違いがあるのでしょうか。
一方マヌカハニーは、他の蜂蜜には無い特別な殺菌・抗菌効果があることで知られています。
もともと蜂蜜には疲労回復や整腸作用、殺菌や沈静の効果があり、世界中で身体に良い食品として親しまれています。蜂蜜は常温に置いていても腐りにくく、その賞味期限はおよそ2年以上もあります。通常の食べ物なら、常温で1年以上置いていたら、腐ってしまいますが、蜂蜜は高い糖度と高い殺菌作用のある「グルコン酸」という成分によって長期保存が可能となっています。「グルコン酸」には雑菌を繁殖させないという働きがあるため、食品添加物などにも使われている物質です。また、腸内の善玉菌のひとつでもある、ビフィズス菌を増やす働きがあるともいわれています。
さらに、蜂蜜に含まれている酵素により「過酸化水素(オキシドール)」を発生させる力があります。過酸化水素(オキシドール)は消毒剤としても使用される成分ですが、残念ながら蜂蜜は体内における殺菌には効果がありません。理由は、一般的に販売されている蜂蜜の多くは出荷前に加熱処理がされているため、熱によって酵素が機能を失ってしまい、過酸化水素などの殺菌成分の効果が減弱してしまうためです。
マヌカの花の蜜だけで作られるマヌカハニーには、蜂蜜とは異なる独自の抗菌特性があると古くから知られていましたが、2006年になって始めて、ドイツのトーマス・ヘンレ教授によりマヌカハニー中の主要な抗菌成分が「メチルグリオキサール(MGO)」という化合物であると同定されました。
メチルグリオキサールは一般的な蜂蜜にも含まれていますが、80種類以上の蜂蜜を試験したところ、メチルグリオキサールの濃度は7mg/kg程度であったのに対し、一部のニュージーランド産マヌカハニー中の濃度は、通常の蜂蜜より70倍以上も高い30mg~700mg/kgほどまで含まれていることがわかっています。
黄色ブドウ球菌及び大腸菌のような細菌を確実に阻止する為には、少なくとも100mg/kgのメチルグリオキサールが必要であるといわれているため、メチルグリオキサールを非常に高い濃度で含有している純粋なマヌカハニーは、一般的な蜂蜜に比べて高い抗菌力・抗炎症作用があり、腸の中にある大腸菌やピロリ菌、サルモネラ菌などの働きを抑制し、感染症の治療に役立つ効果が期待されています。一般の蜂蜜にも抗菌力・殺菌力がありますが、これだけの抗菌力・殺菌力を含む蜂蜜は他にありません。
また、一般的な蜂蜜とマヌカハニーは色や味にも違いがあります。通常、蜂蜜の色は透明~濃い茶色のものまで様々ですが、これはミネラルの含有量と関係があります。色が濃い蜂蜜は、ミネラルがたっぷり含まれているため、高い栄養価を期待でき、色が濃くなると味も濃くなる傾向があるのです。マヌカハニーは、通常の蜂蜜と異なり、加熱処理がされていない天然の蜂蜜であるため、キャラメルのように色が濃く、非常に粘度が高いのが特徴です。また、加熱処理がされていないため、ミネラルの含有量が一般的な蜂蜜よりも多く含まれています。さらに、マヌカハニーには独特のクセのある香りと風味があるのも特徴の1つです。
マヌカハニーの効能と副作用
近年の研究において、マヌカハニーの殺菌成分「メチルグリオキサール」がピロリ菌に対して有効であると明らかになりました。ピロリ菌は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどの胃腸に関係する疾病の原因になるとされる菌です。50代以上の80%以上がピロリ菌に感染しているといわれています。ピロリ菌は非常に強い菌で、胃酸がある環境でも生存することが出来るため、除去するには強い殺菌力を持った薬が必要です。マヌカハニーに含まれる殺菌成分は「メチルグリオキサール」の他に、「シリング酸メチル」という成分もピロリ菌に対して有用な働きをすることがわかっており、医学的治療とマヌカハニーを併用することで、効果的にピロリ菌を除去する効果が期待されています。
また、マヌカハニーはピロリ菌だけでなく、大腸菌やサルモネラ菌といった食中毒の原因となる菌を抑制して腸内環境を整えるほか、歯周病菌など口腔内の菌の抑制にも有効で、口内炎に塗布すると症状緩和にも効果が期待できるとされています。さらに、マヌカハニーは風邪やインフルエンザなどのウイルスも抑制する働きがあるといわれており、喉の痛みがある際にマヌカハニーやその成分が入ったのど飴を舐めると症状を和らげ、切り傷や擦り傷の治癒にも効果があるといわれています。
マヌカハニーにはこのような抗菌作用のほかにも、ビタミンB1、B2、B12、ビタミンC、ナイアシンなどのビタミン類のほか、カルシウムやリンなどのミネラル類、アミノ酸なども豊富に含んでいるため、栄養補給や美容効果にも適した食材であるといえます。
このように、マヌカハニーを摂取することで、体内だけでなく体外においても様々な効果が期待できるのです。
基本的にマヌカハニーはどなたでも安全に摂取できる食物ですが、他の蜂蜜と同様に乳児ボツリヌス症の危険があるため1歳未満の子どもには与えないように注意しましょう。成人の方であっても、免疫を抑える薬を服用されている方や抗がん剤などの化学療法を受けている方に関しては、からだの免疫力が弱っている状態ですので「成人定着ボツリヌス症」を発症するリスクがあります。また、糖度の高い食物ですので、糖尿病を患っている方は摂取により血糖値が急上昇する恐れがありますので、摂取する際は主治医へ相談を行うようにしてください。
ブランドマーク(UMF・MGO・MGS)について
マヌカハニーは健康補助という側面があることから、原産国のニュージーランドでは偽物や低品質品の流通を防ぐことを目的とし、検査機関を通して厳しい品質管理が行われています。その品質を示す指標として「ブランドマーク」と呼ばれる規格が使われ、UMF・MGO・MGSの3つが正規品の証となっています。
UMF(Unique Manuka Factor)はマヌカハニーの規格として最初に生まれたブランドマークです。1988年にニュージーランドのピーター・モラン博士が、ニュージーランドのマヌカハニーは他のハチミツにはない優れた抗菌性を持つ成分があることを発見しました。そしてこの成分を、「マヌカに特有なユニークな要素」を意味する、ユニーク・マヌカ・ファクター(UMF)と名付けました。
UMFはマヌカハニーの示す抗菌成分をフェノール溶液(消毒液)の濃度と比較し、同じ効果を表す濃度を数値で表しており、数字が高いほど抗菌作用も高くなります。例えばフェノール溶液15%と同じ効果のものはUMF15+となります。UMF値は5以上のものにしか表示できません。UMFの値は5+~25+まであり、ニュージーランドでは、UMF10+以上のものは「アクティブハニー」と呼ばれています。有用性を期待するならUMF15+以上、健康維持のためであれば10+以上を選ぶとよいでしょう。
MGOはメチルグリオキサールの略で、上述したマヌカハニーに特有な成分がメチルグリオキサールであることが発見されてから制定された規格です。MGOのブランドマークは、マヌカハニー1kgあたりのメチルグリオキサール含有量を数値で示しています。例えば、MGO100+の場合、1kgあたり100mgのメチルグリオキサールを含んでいるということです。UMF10+はMGO263+に相当します。
MGS(Molan Gold Standard)は、UMFを定めたピーター・モラン博士が2009年に認定した最も新しい規格です。MGSは抗菌作用をフェノール液と比較したUMFと同じ測定方法ですが、単に数値を測定するだけでなく、純度や加熱処理、添加物の有無なども検査対象としています。現在のところ、マヌカハニーのブランドマークの中で最も厳しい規格といえるでしょう。
以上3つがマヌカハニーのブランドマークですが、現在流通している商品では「UMF」「MGO」を使用したものが多い傾向にあります。いずれの規格においても、数値が高くなるほど抗菌作用が高くなり、値段も高くなるという特徴があります。
マヌカハニーの摂取量と美味しい食べ方
マヌカハニーは薬品ではなく食物であるため、基本的に1日の摂取量に特別な制限はありません。ですが、健康に良いからといって食べすぎてしまうと、糖分やカロリーの過剰摂取につながる恐れがあります。摂取量の目安としては、1日に大さじ1杯(15ml)程度がよいでしょう。一度に食べるのが難しければ2~3回ほどにわけ、少量ずつ摂取するのもよい方法です。基本的な食べ方は、スプーンにすくったマヌカハニーを少量ずつ舐めるように、口の中で溶かすように味わう方法がよいでしょう。食べるタイミングとしては、食前30分~1時間前の空腹時に摂取するとより効果が期待できるとされています。
ですが先ほども述べたように、マヌカハニーには独特の風味がありますので、そのまま舐めるのが難しいと感じられる方もいます。その場合は、ヨーグルトに混ぜたり、トーストやホットケーキに塗るなどして他の食事にプラスすると、独特の風味が緩和され、食べやすくなるのでおすすめです。甘い料理だけではなく、ドレッシングに混ぜてサラダにかけたり、煮物の最後に入れてコクをだしたり、通常のお食事にも工夫次第で取り入れることが可能です。
マヌカハニーの殺菌成分である「メチルグリオキサール」は熱に比較的強いですが、ビタミンやミネラルなどの栄養成分は加熱してしまうと力を発揮できないものもあります。ですので、さまざまな効果を最大限に活かしたい場合は、生のまま食べる方法が最もよいでしょう。ただし、加熱する場合であっても、直火に当てたり電子レンジにかけるなどして100℃近くにならなければ大丈夫です。ホットドリンクなどに混ぜて飲む際は、あらかじめ飲み物を温めておいて、後からマヌカハニーを混ぜて溶かすとよいでしょう。
マヌカハニーの効果を実感するためには、継続してできるだけ毎日摂取することが重要です。自分流の味わい方をお試しいただき、無理なく続けられる方法をみつけていきましょう。