プロポリスという名前は耳にしたことがありますか?
なんとなく「健康に良さそう」というイメージはあるものの、実際にどのような物質か知らない方も多いかと思います。プロポリスは「天然の抗菌物質」という異名をとるほど素晴らしい成分が多種含まれており、時節柄、免疫を高めていきたい現代人にオススメの物質です。
ここでは
・プロポリスがどうやってできるのか
・プロポリスの特徴や成分について
・グリーンプロポリス・レッドプロポリスの違い
に関してご説明させていただきます。
プロポリスとは
はじめに、プロポリスができる過程や特徴について説明いたします。
プロポリスはどうやってできるのか
プロポリスはどのような原料から、どのように作られているのでしょうか。
プロポリスの原料は主に「ハーブや樹木の新芽」「ミツバチの唾液」「ミツロウ」です。プロポリスは、「ミツバチが新芽や蕾・樹木などを巡ってそこから分泌される樹脂を採取→咀嚼しながら巣に持ちかえる→その後ミツロウと混ぜ巣の入り口や隙間に塗る」という過程で作られます。
ミツバチが採取した樹脂自体にも優れた抗菌作用がありますが、ミツバチの唾液の酵素成分が混ざることでさらに複雑な構造になり、抗菌だけでなく抗腫瘍(ガン)作用や抗ウイルス作用など様々な効果が明らかになっています。
プロポリスの特徴
プロポリスは「敵の侵入を防ぐ城壁」という意味で、語源としてはプロ(PRO)はラテン語で「守る」「防ぐ」、ポリス(POLIS)はギリシャ語で「都市」という意味です。ここでいう「都市」はミツバチの巣の事で、プロポリスは
【ミツバチの巣をプロポリスという名の城壁で守り、巣内を清潔に保つ】といった意味で名付けられています。
では、なぜ巣内を清潔に保つ必要があるのでしょうか。
蜂の巣の中は、繁殖に必須である女王蜂が生きており、その女王蜂が亡くなってしまうと、その巣内のミツバチの社会も途絶えてしまいます。しかしながら巣の中は高温高湿な環境で、ミツバチが野外からウイルスや菌などを持ち帰ってしまうと、すぐに環境が悪化してしまう特徴があります。そこで入り口や巣の壁のすき間にプロポリスを用いることで、外部の見えない敵から女王蜂を守る方法をとっているのです!
成分と効果
そんなミツバチの知恵から作られたプロポリスですが、実は300以上の生理学活性成分が確認されており「天然の有効物質の宝庫」といわれています。
その中でも「抗がん物質」ともいわれる3種類の
・クレロダン系ジテルペン
・ケルセチン
・カフェイン酸フェネチルエステル
が、プロポリス特有の有効成分として1991年日本癌学会の総会で研究発表され、解明されました。その内容の一つに「クレロダン系ジテルペンは正常な細胞を傷つけずに、がん細胞だけに作用し増殖を阻止する」とあり、一気にその効能が注目を浴びました。
プロポリスはそのほかにも、世界中の研究で
・抗菌、抗ウイルス、抗炎症、抗アレルギー作用
・花粉症の軽減
・老化防止
・もの忘れ予防
・肥満・メタボリックシンドローム症候群予防
などあらゆる分野での科学的成果が明らかになっています。
グリーンプロポリスとは
一般的に出回っているのはブラジル産のグリーンプロポリスであり、品質の高いプロポリスとして珍重されています。
ここではグリーンプロポリスの特徴や成分についてご説明いたします。
グリーンプロポリスの特徴(1)起源植物
グリーンプロポリスとは、その名前の通り「緑色」のプロポリスのことです。プロポリスの色はその起源植物(主原料)である植物の色が反映されます。このグリーンプロポリスは、鮮やかな緑色である植物「アレクリン」が起源原料であるため緑色を呈しています。(ちなみにユーカリが主原料であるオーストラリア産は茶色に近い色をしています。)
では、アレクリンとはどのような植物なのでしょうか?
アレクリンは、ブラジルのミナスジェライス州南部の特定の地域のみ自生している、ローズマリーに似た低木の植物です。 ローズマリーは様々な効能があるといわれていますが、その働きよりもさらに優れた働きをアレクリンは持っており、これがグリーンプロポリスの特徴にも関係しているのです。 現に、ブラジル産プロポリスの等級は緑色の濃さ(アレクリンの含有量)で決まるといい、最上級ランクになると「スーパーグリーンプロポリス」「ウルトラグリーンプロポリス」などと呼ばれています。
では、なぜ緑色が濃い方がランクが高いのでしょうか?それは、プロポリスの緑色が濃ければ濃いほど、アルテピリンCという成分が多く含まれていることがわかっているからです。
アルテピリンCに関しては、後述する成分と効果の項目でご説明します。
グリーンプロポリスの特徴(2)蜂の種類
グリーンプロポリスのもう一つの特徴は、アフリカ蜂化ミツバチという蜂が作っている事です。
アフリカ蜂化ミツバチは、凶暴なアフリカミツバチと働き者のセイヨウミツバチの交雑種です。アフリカ蜂化ミツバチは、高い防御本能をもち巣を守る強さから良質なプロポリスを生産する特徴があるため、その蜂が作り出すグリーンプロポリスは、非常に高い抗菌性を持つと言われています。
グリーンプロポリスの成分と効果
グリーンプロポリスの持つ成分の最大の特徴は、アルテピリンCを含有していることです。
<アルテピリンCとは>
アルテピリンCはポリフェノールの一種です。「アルテピリンC=グリーンプロポリス」といって過言でないくらいアレクリン由来のプロポリスにだけ含まれており、他のプロポリスには含まれていないのが特徴です。このアルテピリンCは高い抗菌作用はもちろん「がん細胞などの異常細胞の増殖を抑制する」という、いわゆる抗腫瘍作用があることが注目されています。
<アルテピリンCの研究結果>
1998年日本癌学会で日本の木本教授によってアルテピリンCが医薬品に匹敵する抗腫瘍性があることが発表され、脚光を浴びることになりました。その研究結果で、アルテピリンCが分裂周期の短いがん細胞に選択して作用し、がん細胞を死滅させる作用があることが明らかになりました。
つまり、アルテピリンCを含有しているグリーンプロポリスは、プロポリスのもつ3種の抗がん物質との相乗効果により、アルテピリンC含有のない「オーストラリア産プロポリスやレッドプロポリス」よりもさらに強い抗がん作用を持つということになります。
レッドプロポリスとの違い
前述したグリーンプロポリスとは起源植物も含有成分も異なる「レッドプロポリス」とは一体どのようなものでしょうか。
色の違いについて
プロポリスの中には「レッドプロポリス」という種類があります。
レッドプロポリスは、名前の通り赤色をしたプロポリスで、起源植物は「ダルベルジア」というマメ科の樹木といわれています。ダルベルジアはブラジル北東部の限られた密林地帯にしか自生しておらず、その樹液はとても赤く、これがレッドプロポリスの色の由来となっています。
レッドプロポリスは大変希少価値が高く、ブラジルのプロポリスは年間約25トン生産されますが、その中でレッドプロポリスは年間数百キロしか取れないともいわれています。
レッドプロポリスの成分と効果
レッドプロポリスは、含まれる成分や効果もグリーンプロポリスと異なります。その中でも特徴的なのが「フラボノイド」「アントシアニン」「イソフラボン」などのポリフェノール類の含有量が、グリーンプロポリスよりも多いことです。
<フラボノイド>
レッドプロポリスにはフラボノイドという赤ワインなどに含まれるポリフェノールがとても多く含まれています。その量は、緑茶の約650倍ともいわれています。
このフラボノイドは、常に紫外線にさらされている植物がその影響を抑えるために備えている自己防衛の成分でもあり、抗酸化作用が非常に高いといわれています。抗酸化作用が高いことから老化の原因となる酸化から肌を守る効果があり、ビタミンCと結びつくことで血行が促進され代謝アップにも効果的な成分です。
<アントシアニン>
レッドプロポリスにはアントシアニンも多く含まれています。近年アイケアサプリメントの成分としてよく耳にしますが、ブルーベリーなどに含まれているポリフェノールの一種で、眼精疲労の回復や視力回復、目のかすみを解消する効果が期待できます。
<イソフラボン>
イソフラボンもポリフェノールの一種で、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きがあり、女性に嬉しい成分です。更年期障害や骨粗しょう症などの改善に効果が期待できるため、ホルモンバランスが乱れがちな更年期女性の強い味方となります。
つまりレッドプロポリスは、一般的なプロポリスよりもポリフェノール類を多く含むため、抗酸化作用や女性に嬉しい効果が期待できるということがいえます。
この記事は管理栄養士の方に執筆していただきました。
小玉奈津実
サプリメントの商品開発や施設の献立作成などの経歴を持つ管理栄養士。現在はフリーの管理栄養士として活動中で、主に栄養指導やコラム執筆や監修を行う。得意分野はダイエットや正しい食事指導、腸活や美容関連など、食を通じて内側から美しくなる事を発信中!食品表示検定中級も保持しており、日頃から様々な商品の原材料表示をみて分析するのが趣味の一つ。